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民商からのお知らせ

事業主の年末調整の方法

2021年01月24日

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1 .年末調整とは…従業員には「楽」なものですが、事業主は大変

  • そもそもはヨーロッパで戦費調達のため「確実に資金を集める」ために始まった
  • 従業員(労働者)であろうと、納税者が持っている「自主申告権」を奪うもの
  • 従業員の「確定申告」を事業主が「代行」しなければいけないもの(責任と義務)

もし、違うことがあれば事業主に税務署から連絡が来る
最悪の場合「調査」に移行される場合も

年末調整でやる事(流れ) 「従業員の代わりに税額を確定する(確定申告と同じ)」

従業員から集めるもの

(扶)

  • 扶養控除等(異動)申告書

(基・配・所)

  • 基礎控除申告書
  • 配偶者控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書

(保)

  • 保険料控除申告書

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

事業主がすること

  • 上記「各申告書」の内容確認
  • 源泉徴収簿の作成(支払額・社会保険料・源泉税額の転記)
  • 源泉徴収簿の作成(各申告書から控除額を転記)
  • 税額の計算(年末調整する・しない)
  • 源泉徴収税の納付(1月20日期限)
  • 源泉徴収票の作成(源泉徴収簿からの転記)と交付
  • 給与支払報告書(総括表)の作成し、自治体ごとに報告(1月31日期限)
  • 法定調書合計票の作成、報告(1月31日期限)

2.2020年度から変更点・留意点

(国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」P4〜)

  • 給与所得控除に関する改正…給与所得控除の引き下げ
  • 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正
    1. 基礎控除の引き上げ
    2. 所得850万円以上の所得者の控除調整(子ども・特別障害等)
    3. 申告書の新設(「給与所得者の基礎控除申告書」「所得金額調整控除申告書)
    4. 源泉徴収簿・源泉徴収票の様式変更
  • 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
  • ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正
    1. 「ひとり親控除」の新設(未婚のひとり親500万以内35万円)
    2. 「寡婦(夫)控除」の見直し(500万円以上は廃止)

1)給与所得控除の引き下げ

国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「1 給与所得控除に関する改正」に改正前、改正後の比較表があります。

  • ほとんどの部分で、一律10万円の引き下げ(上限額のみ25万の引き下げ)
  • 上限額の適用される収入金額が「1,000万円超」から「850万円超」に引き下げ
  • 上限額については、220万円から195万円に引き下げ

2)基礎控除の引き上げ

国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「2 基礎控除及び所得金額調整控除に関する改正」に改正前、改正後の比較表があります。


基礎控除の判定にあたり、昨年までは配偶者(特別)控除を受ける方のみ申告が必要だった「給与以外の収入」について、ほぼ全ての納税者について申告が必要になります。

3)扶養親族等の合計所得金額の要件等の見直し

国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「3 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正」に改正前、改正後の比較表があります。

  • 合計所得金額2,400万円(年収2,595万円※)以下の場合、10万円の引き上げ
  • 合計所得金額2,400万円(年収2,595万円※)を超える方に段階的に減額
  • 合計所得金額2,500万円(年収2,695万円※)を上限とし、それを超える方への適用は不可に

上記の国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「3 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正」に改正前、改正後の比較表の(注1) これは控除出来る金額ではなく、103万(55万+48万)の壁は変わらない。
103万円以内なら38万円控除できるという意味……基礎控除が引き上げられても変わらない?

4)所得金額調整控除の創設(給与所得が850万円以上の所得者のみ)

所得金額調整控除は、以下のいずれにも該当する場合に受けられます。

要件1 給与収入が850万円を超える

要件2 以下いずれかに該当する

  1. 給与所得者本人が特別障害者
  2. 同一生計配偶者が特別障害者
  3. 扶養親族が特別障害者
  4. 扶養親族が23歳未満

同一生計配偶者または扶養親族については、自分以外の所得者が控除対象としている場合も対象にできます。(二人とも控除を取れる)

(例)共働き世帯で、夫の扶養控除対象としている23歳未満の子供がいる場合、妻も所得金額調整控除の対象となる。

計算式は(給与等の収入金額(※)-850万円) ×10%

※給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には「1,000万円」で計算

5)「寡婦(夫)控除」の見直し・「ひとり親控除」の新設(給与所得500万円以上は対象外に)

「ひとり親控除」の新設

合計所得金額が500万円(年収678万円※)以下の(未婚者を含む)ひとり親の場合、申告する本人が男性か女性かによらず、一律で35万円が控除されます。

寡婦(夫)控除の見直し

従来、合計所得金額が500万円(年収678万円※)以下の男性のひとり親(未婚を除く)が対象だった「寡夫控除」は、「ひとり親控除」となっています。また、「特別の寡婦」もなくなっています。

【改正前後の控除に係る適用判定のフロー図】

国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「4 ひとり親控除及び寡婦(寡夫)控除に関する改正」に【改正前後の控除に係る適用判定のフロー図】があります。

合計所得金額が500万円(年収678万円※)以下で、従来の「扶養する子がいない場合の寡婦」に該当する女性は、「寡婦控除」として27万円が控除されることになります。

確認できない不確定なものは計算しない→作成者に責任が伴う

    • 配偶者・扶養者の「生年月日」…老年、特定の判定
    • 配偶者・扶養者の「合計所得」…子どものアルバイト103万は変わらず
    • 保険料・年金の「支払済み金額」…主に「国民年金」

など

「個人番号(マイナンバー)」の取り扱い

法令的には「書類等への記載義務化」…預かると厳重な「管理義務」と厳しい「罰則規定」が

①「取扱者」以外に知られない保管体制をとり、②本人の同意と使用のたびに使用履歴の保存
故意の流出の場合4年以下の懲役または200万円以下の罰金

  • 未提出による罰則、罰金及び不利益はない
  • 全中連・全商連へは「一切の不利益はない」ことを回答(内閣府・厚労省・国税局)

3.年末調整の手順

1)本人より各申告害を提出してもらう

※本人からの提出書類については、必ず①本人の記名と②押印してもらって下さい。
※提出された書類は必ずチェックし、不完全な場合は聞き取りもしくは再提出を求めて下さい。

①(マル扶)養控除等(異動)申告書

(国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」P14〜)

必ず「生年月日」「同居か別居」「障害者」について確認を(12月末時点でのものです)
所得によっては扶養と出来ない場合もあるので、必ず「所得の見積額」の確認を。

チェック 所得の制限は48万円まで 給与の場合総支給 103万円
チェック 扶養親族 平成17年1月1日以前に生まれた人

特定扶養親族 平成10年1月2日~平成14年1月1日までに生まれた人
老人扶養親族 昭和26年1月1日以前に生まれた人

注1…あらたな項目 所得が850万円以上の場合、夫婦でそれぞれ控除できるため

【それぞれ一人についての控除額】

以下の国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「3-4 扶養控除額等の合計額の計算」のページに【それぞれ一人についての控除額】の表示があります。
「条件」については「年末調整のしかた」P16〜。
参考リンク

② (マル基・配・所) 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

(国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」P21〜)

チェック 本人と配偶者の合計所得金額の「見積額」が必要になります

  1. 本人の所得の判定
  2. 配偶者の所得の判定
  3. 本人の所得が850万円以上の場合は所得金額調整控除申告書欄に記入
    複雑になっていますが、判定結果を基に控除額の計算を行います

完成したら源泉徴収簿に転記します。詳しくは(「年末調整のしかた」P25参照)

チェック 分類される配偶者

同一生計配偶者

生計を一にする配偶者(事業専従者を除く)の合計所得金額48万円以下の場合に該当します。
その配偶者が障害者の場合、障害者控除を受けることができます。

控除対象配偶者

同一生計配偶者のうち、所得者の合計所得金額が1,000万円以下の場合該当します。
配偶者控除を受けることができます。

源泉控除対象配偶者

生計を一にする配偶者(事業専従者を除く)の合計所得金額が95万円以下かつ、所得者の合計所得金額が900万円以下の場合に該当します。
配偶者特別控除を満額受けることができます。またの源泉所得税を計算する際に「扶養親族の数」にカウントすることができます。

③(マル保)保険料控除申告書

(国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」P26〜)

チェック 生命保険等「控除証明書」の原本を一緒に提出してもらう

※控除証明書に新制度か旧制度かが記載されていますので確認を。
保険の制度(新制度・旧制度)で、控除額の計算が変わります。
一般生命保険、個人年金保険では旧制度のみの場合、控除最高額は5万円。

【計算式I(新生命保険料、介護医療保険料又は新個人年金保険料を支払った場合)】、
【計算式II(旧生命保険料又は旧個人年金保険料を支払った場合)】

以下の国税庁のパンフレット「年末調整のしかた」の「生命保険料の控除額の計算」の欄に【計算式I(新生命保険料、介護医療保険料又は新個人年金保険料を支払った場合)】、【計算式II(旧生命保険料又は旧個人年金保険料を支払った場合)】があります。
参考リンク

  • 国保・建設国保については請求額ではなく「年内に支払った金額」です。
  • 国民年金は金額の記載だけではなく、納入額の証明書が必要になります。
    はがきサイズの証明書がなければ、市町村から証明書を貰ってください。

完成したら源泉徴収簿に転記します。詳しくは(「年末調整のしかた」P3S参照)

2)事業主が「源泉徴収簿」を作成する

  1. 事業主が従業員各自の源泉徴収簿を作成します(源泉徴収簿の左側の作成)
    各自の賃金台帳から「総支給額」「社会保険料」「所得税」を転記します(用紙の左側)
    ※支給日で記載していって下さい12月分、1月25日支給→1月の欄
    ※総支給額の中に「通勤手当」があれば控除があります。但し条件あり
  2. 毎月給与から天引きした「社会保険十雇用保険」を社会保険料控除欄に転記します
  3. 毎月計算し、差し引いた「所得税(源泉税)」を算出税額欄に転記します
  4. 各欄の合計を計算し、用紙右側の同じ番号の欄に転記し、計算します
    ①総支給金額(1-12月分) ③算出税額(1-12月分) →合計を⑦へ
    ④総支給金額(賞与等合計) ⑥算出税額(賞与等合計) →合計を⑧へ
    ②社会保険料等の控除額(1-12月分) ⑤社会保険料等の控除額(賞与等合計) →合計を⑫へ

チェック 中途就職者が居る場合は、前職分の内容を含めて税額を計算します

3)年末調整の必要な人の年末調整を行う

調整=預かっている税額から確定した税額を差し引きする

超過の場合→本人へ還付  不足の場合→本人より徴収

※年末調整を行わない場合は税額の計算(以下の作業)はしません。
・⑦番以降で税額を計算します(源泉徴収簿の右側の作成)
⑦は ①と④の合計
⑧は ③と⑥の合計
⑨は ⑦番の金額を元に早見表の金額を記入します(「年末調整のしかた」P84〜)早見表参照
⑩ は給与所得850万円以上の場合に調整額を計算します。

計算式は(給与等の収入金額(※)-850万円) ×10%
※給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には「1,000万円」で計算

⑪は ⑨-⑩の金額(⑩が0円の場合は⑨の数字)
⑫は ②+⑤の金額
⑬~⑯は 保険料控除申告書より転記
⑰は 基礎控除等申告書兼…より転記
⑱は 別紙「特別資料1」にて集計した金額

特別資料1

⑲は 基礎控除等申告書兼…より転記
⑳は ⑫から⑲までの合計金額
㉑は ⑪-⑳の金額(但し1000円未満切捨て)…例)2,155,460 → 2,155,000
㉒は ㉑の金額を元に(「年末調整のしかた」P83)の税率で計算

課税給与所得金額 × 税率(A)- 控除額(B)= 算出所得税額

㉓は住宅借入金等特別控除申告書が有る場合のみ記入します

※年度中に住宅ローンを使って購入又は増改築した場合は確定申告が必要になります。
一度確定申告を行うと、税務署より控除申告書が送られてきます。

㉔は ㉒-㉓の金額(マイナスの場合は0円)
㉕は 年税額の計算 ㉔×102.1%の金額 但し100円未満切捨て 例)25,420 → 25,400
㉖は 調整 ㉕-⑧の金額 マイナスの場合超過になり本人へ還付、プラスは本人から徴収
㉗から㉝の当てはまる欄に転記する

4)税額の計算、期日までに納付する

納付期限 2021年1月10日(金)までに税務署へ納付
ただし、「納期の特例」を申請している場合は2021年1月20日(水)に延長されています

4.源泉徴収票及び報告書の作成と送付先

期日までに各帳票を作成し、各送付先に届ける

1)給与支払報告書(個人別明細書)

中途退職者も含め、賃金を支払ったすべての人分を作成
※記載方法は資料参照又は、税務署から送られてきている給与所得の源泉徴収等の法定調書の作成と提出の手引きを参照
※3枚及び4枚複写になっています

  • 源泉徴収票と言われるものです
  • 源泉徴収簿や(マル扶)、(マル保)、(マル基配所)の各申告書から転記し作成します。

※2種類のあり、それぞれ内容が違います

オレンジ(4枚複写)
役員報酬年間150万以上の人
給与年間500万以上の人
緑(3枚複写)
オレンジ以外の人

オレンジ
1枚目 給与支払報告書(個人別) 市町村へ 市町村へ
2枚目 給与支払報告書(個人別) 市町村へ 市町村へ
3枚目 給与所得の源泉徴収票 税務署へ 受給者本人へ
4枚目 給与所得の源泉徴収票 受給者本人へ

2)法定調書合計表(A4複写)

  • 作成された給与支払報告書の各合計を記載し「税務署」へ提出
  • オレンジの「給与支払報告書」があれば3枚目を添付します
    ※必ず納付書の金額と一致するものです
  • 納付金額の計算と作成
    必ず法定調書合計表と納付書の合計額を一致させましょう
    納付額0円でも作成し税務署へ提出します
  • 中途入社した者が居る場合、自社支払分のみ記載するので、集計額と違います。

3)給与支払報告書(総括表)(A5)

  • 「特別徴収」か「普通徴収」に分けて表紙を付け「各市町村」に送付します
  • 送付先は受給者の住んでいる「市町村別」

送付先の例

  • 札幌市(札幌市中央市税事務所 市民税課特別徴収係)
    060-8649札幌市中央区北2条東4丁目サッポロフアクトリー2条館4階
  • 石狩市(石狩市 財務部 納税課)
    061-3292北海道石狩市花川北6条1丁目30番地2石狩市役所本庁舎
  • 当別町(当別町 税務課 税務係)
    061-0292北海道石狩郡当別町白樺町58番地9
  • 江別市(江別市 財務室市民税課 市民税係)
    067-8674北海道江別市高砂町6番地江別市役所本庁舎1階

5.提出先、渡し先の確認

  • 従業員へ①「源泉徴収票」(「給与支払報告書」(個人別明細書)の3枚目)
    左下に小さく「受給者交付用」と記載されています
  • 税務署へ②「法定調書合計表」
    「給与支払報告書」(個人別明細書) オレンジがあれば3枚目
    左下に小さく「税務署提出用」と記載されています
  • 市町村へ③「給与支払報告書」(個人別明細書)の1枚目、2枚目
    左下に小さく「市町村提出用」と記載されています
    「特別徴収」「普通徴収」の選択できるが、法人は強制、また個人でも通年雇用等の従業員が居る場合は強制が進んでいます。

特別徴収

事業主が、従業員の給与から、毎月住民税を天引きし、市町村に納付すること

普通徴収が認められる場合

  1. 毎月の給与が少なく、住民税を引き切れない人
  2. 給与の支払いがなく個人住民税が引けない月がある
  3. 前年中の給与支払額が100万円以下である
  4. 事業専従者である(個人事業者が営んでいる事業所のみ)
  5. 他の事業者で特別徴収を実施する
  6. 退職者または給与支払報告書を提出した年の5月31日までに退職予定
  7. 雇用期間が1年以内である

6.納付書の作成

  • 下期分の支払い延べ人数、支払額合計、源泉税額合計を記載し納付します。
  • 調整後の超過・不足がある場合は納付書で調整し、納付します。